Cambodia Today




 昨今のカンボディアの国内総生産は94年の数字で約23.4億ドルと、鳥取県の総歳
入額の3分の2強と、極めて脆弱な状況であると言っても良いでしょう。
 かつてメコン川の恵みによる肥沃で豊富な水資源を背景に60年代には、食料自給を達
成し、米やゴムの輸出を行なっていた農業国でした。しかし、70年代以降の内戦と混乱
の中で、国土は荒廃し、家畜等の生産手段は失われ、また、担い手である労働人口まで虐
殺等の理由で減少しました。その生産性を向上させるために国民が一丸となり、努力を払
った結果、80年代になるとかなりの回復を見せ、主要穀物、米、ゴムの生産等、相当部
分については69年の水準に近いところまで到達しています。
 プノンペン市内では、近年、自動車、オートバイ、レストランの急増、テレビの普及、
宝石・衣料の消費の増加等の現象が見られ、また生活に必要な日常の物資は出回ってお
り、表面的には経済の好調ぶりを感じさせられます。が、実際には生産活動が充分ではな
く、輸出向けの国内生産は限られています。ほとんどの物資を輸入に依存しているため、
大幅な貿易赤字が続いており、実体のある経済成長を実現するに至っていません。
 旧ヘンサムリン政権の国家財政を支えていた旧ソ連、東欧、ヴェトナムからの援助が削
減・停止されたことや、徴税制度が不十分な事もあり、新政府の財政は非常に厳しいもの
になっています。
 この様な状況の中、新政府は税制改革を漸進に実行する傍ら、金融引き締め策を実行し
ており、インフレもほぼ収束しています。これらのカンボディア政府が行なってきた努力
を国際社会は評価し、IMF及び世界銀行が融資を再開する等の明るい兆しが見え始めて
きています。
 これからのカンボディアの具体的な政策課題として、道路、鉄道網を中心とした交通網
の整備、また、電話を中心とした通信網の整備が挙げられます。まず、道路網は内戦の影
響や維持管理の不足により、現実、かなりの被害を受けています。また鉄道に関しては、
老朽化や治安問題等があり、走行速度が僅か20Km程度と、極めて劣弱な状況です。ま
た、カンボディアにはプノンペン市内に有線電話が4000回線強、携帯電話が一万回線
強がありますが、有線電話については老朽化が著しく、雨期になると、地下埋設のケーブ
ルが紙巻きケーブルであるため、水に浸かったりしますと通話不能となることも稀にあり
ます。また、携帯電話も台数の増加に通信施設が追い付かず、通話率が30%程度に落ち
ている状態で、こちらも早急に改善の必要があると言えましょう。